堺市が取り組む乗り合いタクシーが４月１日から本格運行を始める。平成２６年３月からどれだけ利用者があるかなどを検証するために、実証運行を開始。タクシーでありながら大人３００円という格安料金で、バス路線がない市内９ルートを回り、自家用車を持たない高齢者らの大切な交通手段になっている。２年にわたる実証運行を終え４月からは、停留所を追加するなどルートを再編。より便利にしたうえで、「市民の足」として定着を図る。

　府内で同様の乗り合いタクシーは河内長野市や豊能町、河南町で導入されているが、ルート数は堺市が突出して多い。

　堺市は２６年３月１０日から市内に営業所があるタクシー会社・大阪第一交通に業務を委託。東西南北に広い市内各地を結ぶ９ルートとも朝から夕方まで５便があり、予約があるときにだけ運行する。予約は、１週間前から２時間前まで（第１便は前日の午後６時まで）に行う。車はセダン型のタクシーで定員は４人。

　料金は大人３００円、小学生以下１５０円だが、６５歳以上の市民が格安で交通機関を利用できる「おでかけ応援カード」を提示すれば、バスなどと同じく１００円で乗車できる。このため、高齢者に人気で、利用者の８割以上が６５歳以上になっているという。電車の駅－駅間の乗降車はできないが、このほかはルート内のどの区間でも利用できる。

　実証運行結果をふまえ、４月から全体で９カ所の停留所を追加し、ルートも再編。１コースあたりの停留所は８～１５カ所になる。ＡからＩまで９ルートあり、８キロから１７キロ。いずれもバスが通らないコースを回り、大型車が通りにくい細い道もある。

　大阪第一交通への委託料として２８年度当初予算に２２６０万円を計上している。市公共交通課の担当者は「実証運行で需要があることがわかった。ただ、まだまだ乗り合いタクシーを知らない人も多いと思う。少しでも多くの人に利用してもらいたい」と話している。

　タクシーには「堺市乗合タクシー予約制」と書かれたマグネットシートが貼られている。９ルートの詳細は市ホームページで閲覧できる。乗り合いタクシーの予約は大阪第一交通（（電）０７２・２２１・６０６０）。（張英壽）