避難所では、多くの人が限られたスペースで寝泊まりするため、感染症が一気に広がる恐れがある。予防は、せっけんを使い、流水で手を洗うのが基本だが、避難所ではきれいな水が不足することも少なくない。
【写真】体調不良を訴える避難者を診察する福岡県医師会派遣の医療チーム=19日午後5時9分、熊本市中央区、細川卓撮影
東北大の賀来満夫教授(感染制御学)は「洗えなくても、ウェットティッシュで食事前やトイレ後に手の汚れを拭き取るだけでもいい。アルコール消毒剤はノロウイルスには効かないが、一般的な感染症の予防策として重要」と話す。
ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎や、インフルエンザは流行のピークが過ぎたものの、まだ注意は必要だ。
ノロウイルスは食事や手に付着して体内に入り、下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす。感染力が強いため、患者の便や吐いた物を処理する際は手袋やマスクを着用し、周りにウイルスが飛び散らないように新聞紙などをかぶせる。床などの消毒には塩素系漂白剤がなくても、水拭きした後でアルコール消毒剤で拭くと感染のリスクは減らせる。
インフルエンザは患者のせきやくしゃみで感染する。マスクは症状のある人に優先して配布する。
口の中で細菌が増えて気管に入ると、誤嚥(ごえん)性肺炎を引き起こすことがある。口の中を清潔に保つことが大切で、歯磨きができない場合はウェットティッシュで口の中や歯の表面を拭くだけでもよいという。