国土交通省は4日、地震発生時に橋の落下を防ぐ「落橋防止装置」を製造した11社が装置の溶接工程の一部を不正に省略していたことを明らかにした。この装置を巡っては、久富産業(福井市)が意図的に溶接工程の一部を省いていたことが判明し、国交省が調査していた。11社と久富産業の不良品を使った橋は31都道府県で計400橋に上る。国交省は日常の使用に影響はないとしている。
国交省によると、国や高速道路会社が管理する橋のうち約5400橋に落橋防止装置がある。久富産業の不正を受け、国交省は耐震補強工事などに携わった元請け建設会社約1700社に部品の確認を要請し、調査を進めた。
その結果、11社の装置が使われた144橋のうち、11月末時点で43橋の落橋防止装置に溶接不良を確認。国交省が11社に事情を聴いたところ、故意に溶接工程を省いたことを認めたという。調査は続いており、不正の件数は増える可能性がある。
国交省は「一定の溶接がされているので、落橋防止装置としての機能が低下している可能性は低いが、将来を考えると補修が必要」としており、元請けに補修を求める。
これとは別に、全国の156橋の落橋防止装置に溶接の不具合などが見つかった。故意に工程を省略したのではなく、作業上のミスだったという。
不正行為があった他の11社は以下の通り。
マルエヌ野村工業(北海道)▽トーカン工業(千葉県)▽エスイー鉄建(愛知県)▽八十八工業(静岡市)▽篠田工業(静岡市)▽フジタ建設工業(三重県)▽有元プラント工業(堺市)▽キシマ製作所(鳥取市)▽サンベルコ(岡山市)▽太陽工業(広島市)▽大分東明工業(大分市)【坂口雄亮】