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『生徒指導メールマガジン』 第11号

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文部科学省
『生徒指導メールマガジン』 第11号
巻頭言:「不合理の合理(応援部での経験)」(児童生徒課今泉課長補佐)
福島県教育委員会:不登校に関する取り組み「不登校30・15戦略」について
施策紹介:
「『突然キレる子』に関する既存の研究成果の紹介について」
「重大少年事件の実証的研究」(平成12年4月:家庭裁判所調査官研修所)
「『突発性攻撃的行動及び衝動』を示す子どもの発達過程に関する研究」
(平成14年3月:国立教育政策研究所)
主要行事の予定又は連絡事項等
施策に関する各地域からの提言又はQ&A
1.巻頭言: 「不合理の合理(応援部での経験)」(児童生徒課今泉課長補佐)
(1)はじめに
いきなり私的なことで申し訳ありませんが、私は大学時代に応援部に所属しておりました。応援部は独特なコミュニティで、一般的には合理的でないことが、応援部の中では非常に合理的に機能しております。応援部の不合理を挙げればキリがありませんが、以下にほんのさわりだけご紹介したいと思います。

1.不合理その1:「応援部では、練習で身体が壊れても構わない?」
私が所属していた応援部は、一応、運動会(他大学で言う体育会)に所属しておりました。普通、運動部であれば、競技に勝つ事が目的ですから、「いかに効果的・効率的な練習をこなし、より良い成果を得るか」が重要です。当然ですが、身体が壊すような練習をしたら元も子もありません。一方、応援部の練習は、想像を絶するくらい厳しかったです。体力の限界に達して倒れたとしても、水をかけられて、起こされて、容赦なく練習が続きます。練習が、いつまで経っても終わらずに、このまま永遠に続くのではないか、と思ったことも数え切れないくらいありました。ただ、倒れて、起きあがる度に、自分がまた1つ自分の殻を破り、強くなっていっていることも実感しておりました。そんな練習ですから、体を壊す事も度々あります。実際、私も1年の夏合宿の最中に膝を壊しました。そもそも応援部の練習の目的が、体のことの是非よりも、むしろ自分の殻を破ることにあったと言っても過言ではありません。そして、その厳しい練習のせいか、弱々しかった1年生が、2年生に上がる頃には先輩以外に怖いものが無くなり、「下手な運動部よりも体力はある」と不遜に考えるようになります。このような厳しい練習の中で、苦しいけれどもそれを乗り越えた経験が、将来的に苦しい状況に遭遇した時に「自分ならやれる」という自分への自信につながるのだと思います。

2.不合理その2:「ある運動部が負けた時は、応援部の責任である。」
これも、入部当初に不合理に感じていたことです。客観的に見れば、△△部が試合に負けたのは、応援部の応援のせいではなくて、△△部が相手チームより実力が劣っていたからで、それは△△部がさらに奮起して練習するしか勝てる手段はないはずです。それなのに、応援部では、「その部が試合に負けたのは、おまえらのせいだ。おまえらの応援が気合いが入っていなかったから負けたんだ」とさんざん怒られ、罰練習をさせられます。下級生ながら「練習をしなければならないのはあいつらなのに何で・・」という思いで、罰練習を必死に耐えていたことを覚えております。ただ、応援は「自分のためではなく、ひたすら他者のために、自分を捨てて、一生懸命応援することにある。その目的が達成できなかったんだから、その足りない部分を補う練習をするのは当然だ。」という考え方です。この不合理に思えた練習も、今から思えば、自分の原点になっております。現在の公務員という仕事も、自分のためというより、自分以外の誰かのために、自分の時間とエネルギーを捧げて一生懸命奉仕する仕事です。自分以外の誰かに奉仕することを通じて、他者の幸福に寄与すると同時に、そのことによって自分のやりがいや自分が生きている意味を見つけられる、そんな仕事だと思います。その意味で応援部と似たところがあります。私が、この「なんか自分には合わないな」と感じている公務員という世界で、もう既に十数年も働いているのはそんな応援部での経験のおかげかもしれません。

3.不合理その3:「能力のある人間がトップになれるとは限らない。」
よく応援部・応援団というと「主将(団長)」がいかにも一番偉いように思われます。一般の人達から見れば、何でも出来て一番優秀で人格的にも優れている者が団長になるイメージがあるのではないでしょうか?もちろん中にはそんな団長もいますが、実は、必ずしも一般の人達のイメージ通りではありません。応援部は、極めて良くできた組織で、きちんと個性に合わせた役割分担が出来ており、幹部になれば、その立場に応じてその役を演じきることが求められております。例えば、同期の中で一番仕事が出来る者が「主務」、下級生達に対して「鬼」になり切れる者が「リーダー長」、一番体力のある者が「旗手長」、人脈が広い者が「運動会常務」や「連盟常任委員」・・といったように、その一人一人の能力に応じて役職が割り振られ、最後に残った人が「主将(団長)」になります(これは私がいた応援部だけかもしれませんが・・)。そこでは、本人の希望があっても、なりたい役職になれるとは限らないのです。応援部は、そうやって個人の得意分野に応じて役職と役割分担が与えられ、幹部の時代は徹頭徹尾その役を演じきることになります。
私は、3年生までは『主将になりたい』と思っていたのですが、同期の中では一番体力があったこともあって、幹部の時の役職は旗手長でした。その役職が決まった時には正直残念だったのですが、それがその当時私に与えられた環境でした。もし、同期に私より体力のある者がいたら、主将になっていたかもしれないし、他大学又は1代前若しくは後の学年だったら主将になっていたかもしれないけれども、そんなことを考えても仕方が無いことでした。その時に「重要なことは、自分に与えられた環境を受け入れて、その環境の中で自分の力を精一杯発揮することを考えなければいけない」ということを学びました。そのことによって組織が組織として機能し、なおかつその組織内の構成員の充実感にもつながるのだと思います。

4.不合理その4:「応援部員は、真夏と真冬の気温差40度のところを、同じ服装(学ラン)で過ごさなければならない。」
応援部における正装は、学ラン(学ランの下は白のTシャツに白の長袖シャツ)であり、応援部の正式な活動時には、正装である学ランであることが求められるのは当然なことです。それに加えて、先輩の前でもやはり先輩に敬意を表して正装であることが求められます。たとえ、真夏の炎天下で30度をこす気温の中であっても上着を脱ぐことは許されず、真冬の吹雪の中で氷点下10度くらいであろうとも学ランの上にコート等をはおることも許されてはおりません。実に、その温度差40度を、全く同じ服装で過ごすことが求められているのです。今年は「クール・ビズ」が進み、私もその恩恵を享受して今年の夏は例年に比べて快適に過ごしておりますが、これは、応援部では許されることではありません。
しかし、この「暑くても脱げない、寒くても着れない」不合理を通じて、暑かろうが寒かろうが、どんな状態であっても「ならぬことはならぬ」ということを学び、「応援に際しては正装で臨むという当たり前の心構えを持ってTPOをわきまえた服装をしなければいけない」ということを学びました。

以上は、まだ応援部の紹介の一端にしか過ぎませんが、応援部の「不合理」は経験すると、それなりに意味があることが分かります。
私は、ひょんな事から応援部に入部して、直ぐに辞めてやろうと思っていたのに、結局4年間やり通すこととなりました。その過程では、途中、何度も苦しい思いをしたはずなのに、なぜか、応援部で過ごした4年間は充実感があったものでした。
この応援部4年間を経て学んだことは、「苦しくても、がむしゃらに頑張ってやり遂げてみると、実は、それが自分にとっていかに充実していた日々であったかに後々気付くということ」と、「自分以外の誰かのために、自分の時間やエネルギーを捧げて一生懸命取組むと、他者のための行為でありながら、実は他者のために頑張ることを通じて、自分のためになっているということ」でした。まだ、途中ですが、人生もそんなものかもしれません。途中、苦しいことがあるかもしれないし、悩むことも多々あるかもしれないけれども、先ずは、自分以外の誰かのために一生懸命頑張ってみると、その結果はともかく、人生としては充実したものになるのかもしれません。
もう1つの収穫が、同期の仲間との関係です。応援部に入ると、単なる友人関係とは違い、同期の仲間を選ぶことはできません。気の合わない者とも同期としてつきあっていかなくちゃいけないし、協力して1つの組織を支えなくちゃいけなくなります。私の同期は、私を含めて4人いたのですが、これが、それぞれのタイプが全く違うし、意見も合わないし、性格も異なるし、考え方さえも違っていました。だから、現役時代は、彼らと一緒にやっていくのが嫌だったのですが、結局、4年間、苦労を共にして一緒に過ごしました。しかし、今では、何故か、卒部後には定期的に「会いたい」と思ってしまうし、「こいつらは、何かあっても絶対に裏切らないだろう」と信じることができてしまうのは不思議です。思えば、学生時代に気のあった友達とは今は付き合いが無くて、逆に、気が合わなかった応援部の同期と今でも付き合いがあるのは、皮肉なものです。

以上のように、応援部の「不合理」にそれなりに意味があるのと同様に、世の中の不合理にも、その不合理が持つ奥の深さは経験しないと分からないものがあるのではないでしょうか。その奥の深さを経験したこともない第三者が「効率性」の名の下にバッサリと切り捨ててしまうのは、如何なものでしょうか。現在、社会全体が効率性を求め、不合理なものを排除しようとする風潮がありますが、少なくとも応援部の不合理は、単純に「不合理だから排除する」には、あまりにももったいないものです。その裏にある「不合理」の理由を考えずに、「不合理」を排除してしまえば、失うものも大きいかもしれません。

2.福島県教育委員会:不登校に関する取り組み「不登校30・15戦略」について
1 はじめに
本県における不登校の状況は、平成13年度まで増加の傾向を示していたが、平成14年度から減少傾向を示している。しかし、平成16年度調査結果から小・中学校合わせて1811人の不登校児童生徒がおり、若干の減少はみられるものの、依然として憂慮すべき状況である。このような現状を踏まえて本県では、平成16年度から県全体で不登校対策として、「不登校30・15戦略」を掲げ、行政と学校が一体となり、各学校が一人一人の児童生徒に応じた支援の方法を考え実践する取り組みを推進している。

※ 「不登校30・15戦略」とは
不登校児童生徒に対して、指導の結果、登校する又は登校できるようになった児童生徒の割合(復帰率)を毎年30%以上にする。そして不登校児童生徒を前年度より毎年15%以上減少させる。

2 不登校児童生徒の現状
復帰率
年度小学校復帰数中学校復帰数総数復帰総数復帰率
131241,7263782,11450223.7%
388
14761,6573961,98147223.8%
324
15901,5463791,86346925.2%
317
16941,5233941,81148826.9%
288
減少率
年度小学校減少数中学校減少数総数減少総数減少率
13161,726262,11442/
388
14-641,657-691,981-1336.7%
324
15-71,546-1111,863-1186.3%
317
16-291,523-231,811-522.9%
288
上記の現状から目標指数には達成していないが、県内の各小・中学校においては、不登校児童生徒一人一人の状況に応じてきめ細かい指導が繰り返されており、その成果があらわれている学校が数多くある。その中で未然防止に向けた取組みや、学校復帰に向けた取組みを積極的に実践し、効果の上がった取組み事例を「不登校児童生徒を出現させないための効果的な指導事例」「不登校児童生徒を学校に復帰させた効果的な指導事例」としてまとめ、県内の各小・中学校へ配付し、今年度から各学校の不登校対策に向けた研修会や実践の参考資料として活用している。

3 平成16年度指導事例集から
(省略)

4 平成17年度の具体的な取組み
今年度は、昨年度の取組みをベースに以下の重点目標を掲げ、行政と学校が一体となり積極的に不登校児童生徒の減少を目指している。

重点目標
新たな不登校児童生徒の出現ゼロを目指す。
中学校1年生の不登校対策を強化する。
不登校児童生徒数20人以上の学校をゼロにする。
県全体へ「不登校30・15戦略」の啓発を推進する。
県内教職員全員へ年間定期調査の域内別結果を周知する。
マスコミの協力を得て、年間定期調査域内別結果を公表する。
不登校児童生徒の個々の実態を把握し支援する。
6月末、10月末、2月末の定期調査
不登校対策強化月間【4~5月、9月~10月、1月~2月】における新たな不登校児童生徒出現情報の共有化(リアルタイム)
学校等への支援訪問をする。
学校への不登校研修会等の出前支援訪問
不登校問題で困っている学校への支援訪問
適応指導教室への支援訪問
スクールカウセラー配置校への支援訪問
不登校対策研究協議会
「不登校30・15戦略」と不登校対策関連事業との連携強化をする。
関係機関との連携強化を図る。
NPO法人等との連携
社会教育との連携(家庭教・社会教育)
(2)教育事務所の取組み
域内の実態から各教育事務所としての具体的な目標設定をする。
不登校児童生徒の個々の実態を把握した具体的支援を行う。
不登校児童生徒やその保護者の悩みや願いを積極的に把握する。
(電子メールや・FAX・ダイレクトメール等)
指導主事の定期支援訪問
社会教育の事業との連携(家庭教育・社会教育)
市町村教育委員会との行動連携を行う。
(3)市町村教育委員会の取組み
市町村の実態から具体的な目標設定をする。
不登校児童生徒の個々の実態を把握した具体的支援を行う。
指導主事の定期支援訪問
社会教育の事業との連携(家庭教育・社会教育)
教育事務所との行動連携を行う。
地域のサポート体制を確立する。
(4)学校の取組み
不登校児童生徒出現ゼロの具体的な取組み
学級経営研修会の充実
集団活動を通した特別活動の指導と評価の一体化
欠席児童生徒の不登校と病気の早期見極め
不登校対策強化月間の取組み
タイムリーな家庭訪問
中学1年生の不登校対策の強化(小学校との連携)
不登校児童生徒への復帰支援
学校復帰支援チームでの組織的支援(個々への支援体制の確立)
適応指導教室との具体的連携
長期的、短期的な具体的な支援計画の作成
IT等を活用した復帰支援プログラムの作成
校長等による家庭訪問の実施
5 おわりに
昨年度の取組みの中で、行政と学校が共に課題や悩みを共有する目的で「不登校児童生徒が20人以上の学校へ緊急支援訪問」を行った。その報告から各学校とも不登校児童生徒一人一人の状況に応じたきめ細かな指導が行われ、今年度の6月末現在の不登校児童生徒数は、863名(県単独調査による)で昨年度の調査時期より若干減少している。
2学期以降、増加させないためには、復帰支援を推進しながらも、新たに不登校児童生徒を出さないための支援が緊急の課題である。「不登校児童生徒を出さない学級経営の在り方」や「人間関係の構築を考えた特別活動」「キャリア教育の実践」等の教師自身の指導力の向上が必要と考える。今後とも県教育委員会では学校と一体となった支援体制を構築し、一人でも多くの不登校児童生徒の学校復帰や減少に取り組んでいきたい。

3.施策紹介
「『突然キレる子』に関する既存の研究成果の紹介について」
最近、「何であの子が・・」といわれるような、普段は大人しくて真面目な子どもが、突然、重大な少年事件を起こすような事例が増えている。このような「突然キレる子」については、これまでも幾つか研究があったが、最近では、以下の2つの研究成果が出されている。
この2つの研究成果からは幾つか重要な知見が得られるため、今回は、施策の紹介とは少し趣を異にするが、この2つの研究成果を紹介したいと思う。
現在、文部科学省では、昨今、多発している重大な少年事件に対して適切に対処していくため、昨年佐世保市での同級生殺害事件の際に設置した「児童生徒の問題行動に関するプロジェクト・チーム」を再開し、これら少年事件の再発防止に向けた対応方策を検討している最中である。各教育委員会及び学校におかれては、以下の2つの研究成果とともに、近々文部科学省から公表される上記プロジェクトチームを参考にして、地域の実態に応じて施策の充実を図っていただきたい。

1 「重大少年事件の実証的研究」(平成12年4月:家庭裁判所調査官研修所)
(1)概要
この研究については、家庭裁判所調査官、裁判官、学識経験者、教員及び関係機関実務者等からなり、彼らが、平成9年から平成11年までの3年間に起きた少年による殺人及び傷害致死事件の中から、「単独で殺人事件を起こしたケース」と「集団で殺人事件又は傷害致死事件を起こしたケース」を取り上げて、その背景や原因を分析したものである。

(2)研究概要
本研究では、「単独で重大事件を起こした少年」と「集団で重大事件を起こした少年」では、資質、人格の偏りや犯行態様等の点で大きな違いがあることが示されている。
前者の場合では、大きく分類して「1.幼少期から問題行動を頻発していたタイプ」、「2.表面上は問題を感じさせることがなかったタイプ」及び「3.思春期になって大きな挫折を体験したタイプ」の3つのタイプがある事が指摘されている。
その一方、集団で重大事件を起こした少年については、被害者に暴力を振るっているうちにそれがエスカレートして被害者が死んでしまったケースが大半であることが指摘されている。

(3)「表面上は問題を感じさせることがなかったタイプ」:
最近、マスコミ等を騒がせている重大な少年事件は、その多くが上記(2)の単独で重大事件を起こした少年のうち2.のタイプに該当していると考えられる。
この2.のタイプについて、研究では、「普段は大人しく、環境に順応していたように見えていたのに、突然、殺人を犯したタイプである。少年は、大人しく目立たないため問題がなさそうに見えるが、親との間に情感のこもったコミュニケーションが乏しく、自然な感情の伴った温かい人間関係をほとんど誰とも作ることができていない。反抗態様には、独特の形で守られていた自分自身の世界が破壊に瀕するという危機感によって引き起こされたという面がある。」と分析している。

(4)特徴・前駆的な行動
この研究においては、このような少年には、以下のように幾つかの特徴的な点や前駆的な行動がある事が指摘されている。つまり、「1.犯行直前には主観的に追い詰められた心理状態となっていて、自殺未遂や自殺願望が多く見られ、人の命を奪うことのハードルがかなり低くなっていたように思われること。2.観念的な思考が目立ち、自分のやり方に固執し、柔軟な思考ができない傾向があるなど現実的問題解決能力の乏しさが見られること。3.自分の気持ちすら分からない感覚があり、快・不快といった極めて未熟な感情しか自覚できず、自分の気持ちを相手に伝えたり、相手の気持ちを感じ取ったりする力(共感性)が極端に乏しいこと。4.自己イメージが悪く、「自分はだめな人間だ」という観念が強く、劣等感を抱いていること。5.ナイフ等の凶器の収集や殺人、暴力をテーマとするビデオなどのバーチャルなものへの異常なのめりこみが見られる事例があること。」などが指摘されている。

このような知見をもとに、学校や家庭等においては、個々の子ども達の変化等について、十分に注意して見守り、上記のような前兆行動が見えた際には、これを1つの重要なシグナルとして受けとめ、一人で抱え込まずに、学校や関係機関に相談・連携を進めながら、適切に対応することが必要である。
ここで注意すべきことが、以上の家庭裁判所の研究は、20数件の限られたサンプル数の下に得られた知見であり、上記の特徴的・前駆的な行動が見られるからといって、それが即そのまま事件につながるとは決して言い切れないものであり、このような行動を取る少年に対して、注意深く見守りつつも、偏見を持たないよう十分に気をつけることが必要である。

2 「『突発性攻撃的行動及び衝動』を示す子どもの発達過程に関する研究(『キレる』子どもの生育歴に関する研究)」(平成14年3月:国立教育政策研究所)
(1)概要
本研究は、文部科学省からの委嘱により、国立教育政策研究所と国立公衆衛生院との共同研究として実施され、文部科学省、厚生労働省、法務省及び警察庁が連携して、平成12年から13年度の2年間で調査・分析が行われたものである。

(2)研究成果の概要(『キレた』子どもの性格的傾向)
『キレた』子どもの性格的傾向を分類すると、1.耐性が欠けていると認められる「耐性欠如型」、2.攻撃性が認められる「攻撃型」及び3.不満を抱え込んでいることが認められる「不満型」に分類できるとしている。
研究によると「1.『キレた』子どもの性別は、圧倒的に男子が多かったこと(約88%)。2.性格的傾向で最も多かったのは、耐性欠如型(約70%)であり、以下、攻撃型、不満型の順となっていること。3.耐性欠如型と攻撃型は男子に多い傾向が見られ、不満型は女子に多い傾向が見られたこと。」が指摘されている。

(3)研究成果の概要(『キレた』子どもの生育歴に関する要因)
研究によると、「1.『キレた』子どもの生育歴の要因としては、「家庭内での不適切な養育態度(約76%)」が最も多く、次いで「家庭内での緊張状態(約64%)」となっていること。2.「家庭内での不適切な養育態度」では、過度の統制(約19%)が最も多く、次いで、放任(約15%)、過保護(約14%)、過干渉(約11%)、言いなり(約10%)となっていること。3.「家庭内での緊張状態」では、両親の離婚(約25%)、夫婦不仲(約13%)、貧困(約12%)、再婚(約8%)となっていること。4.父親不在や母親不在も要因の1つに指摘されるが、いずれも上記2.や3.の不適切な養育態度や家庭内の緊張状態と密接に関係していると思われること。5.『キレた』子どもは、問題行動を起こしたり(約27%)、家庭内暴力を受けていたり(約24%)、友人関係に問題があったり(約24%)していること。6.問題行動を起こす子どもに対しては、家庭の適切な対応が欠如していることが認められ(約73%)、養育者の毅然とした態度が必要であること。」などが指摘されている。

(4)研究成果の概要(『キレた』子どもの学校段階別の状況)
研究によると、『キレた』子どもの各学校段階別の傾向として以下のようなことを示している。

小学生の場合:攻撃型の場合は、家庭内における暴力が大きく影響している(「暴力の連鎖」が起きている)。また、耐性欠如型の場合は、躾の問題を抱えた家庭での出現率が高いことが示されている。
中学生の場合:攻撃型の場合は、小学校段階と同様に家庭内での暴力が大きく影響している。耐性欠如型の場合には、小学校段階のような明確な傾向性が見られなかったが、これは、中学生になって自意識が高まるとともに、学業成績が強調されることからストレスのはけ口として、キレる状態に至ったと考えられるためであることが示されている。
高校生の場合:家庭内での暴力が攻撃型と結びつく事例が減少する一方、劣等感に起因する不満型の割合が高くなることが示されている。

以上のような研究の知見では、学校の影響ももちろんあるが、それ以上にいかに子どもにとって家庭の影響が大きいのかについて示されており、行政としてはこれら家庭内での養育の在り方をいかに支援していくことができるかが重要である事が見てとれる。

4.主要行事の予定又は連絡事項等
(全てを記載しているわけではありませんので、必ず正式文書で確認をお願いします。)
児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるとともに、小学校段階から児童生徒の発達段階に応じた組織的・系統的なキャリア教育の推進が今強く求められています。家庭、地域、産業界が一体となって社会全体でキャリア教育を推進していこうとする気運を高め、キャリア教育の意義を普及・啓発するとともに、自治体や学校の積極的な取組等について紹介することなどにより、キャリア教育の方向性をわかりやすく提示し、キャリア教育を一層推進するために、フォーラムを開催します。

平成17年度キャリア教育推進フォーラム(西部地区) 9月3日(土曜日)
アステールプラザ 大ホール(広島県広島市中区加古町4-17)
主催 文部科学省、広島県教育委員会
西部地区につきましては、参加申込みを終了いたしました。

広島県教育委員会ホームページ(※ 広島県教育委員会ウェブサイトへリンク)(※ 別ウィンドウで開きます。)
平成17年度キャリア教育推進フォーラム(東部地区) 9月25日(日曜日)12時~16時 (受付、開場 11時15分~)
横須賀芸術劇場(神奈川県横須賀市本町3-27)定員 1,800名
主催 文部科学省、神奈川県教育委員会
東部地区につきましては、神奈川県教育委員会において、参加者を募集しております。
詳細につきましては、神奈川県教育委員会のホームページをご覧下さい。

神奈川県教育委員会ホームページ(※ 神奈川県教育委員会ウェブサイトへリンク)(※ 別ウィンドウで開きます。)
横須賀芸術劇場ホームページ(会場)(※ 横須賀芸術劇場ウェブサイトへリンク)(※ 別ウィンドウで開きます。)
生徒指導メール・マガジン第12号 9月30日(金曜日)
5 施策に関する各地域からの提言又はQ&A
今回は特になし。

本件連絡先
文部科学省初等中等教育局児童生徒課 生徒指導企画係
メール・マガジン問い合わせ先 <jidou@mext.go.jp>
電話:03-5253-4111(内線3055)、FAX:03-6734-3735
※ 生徒指導及び進路指導上の優れた実践事例を公募したいと思います。全国的に紹介したい事例がある場合には、ご執筆の上、送信いただきたいと思います(その際、執筆者が都道府県・指定都市教育委員会でなくても、学校又は市町村教育委員会の執筆でも可です)。内容を見て、「各地域又は学校の優れた取組みの紹介」の項で紹介していきたいと思います。
※ 教育課題についての質問や提言、他の都道府県教育委員会へ伝えたいニュースや連絡事項などありましたら、上記アドレスまで返信メールの送信をお願いします。なお、恐縮ですが、質問に関しては、全体に周知する事が必要なものについて、本メール・マガジンで回答していきます。
※ メール・マガジンは、文書による通知・連絡とは異なり、あくまでも文部科学省からの情報提供を目的としています。通知・連絡については、従来通りの方法にて行いますのでご留意願います。


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