下関市長選:3氏が届け出 首相お膝元で保守分裂の様相
毎日新聞
任期満了に伴う山口県下関市長選は5日告示(12日投開票)され、無所属で元市議の松村正剛氏(63)と自民党所属の前市議、前田晋太郎氏(40)、無所属現職の中尾友昭氏(67)の3人が立候補を届け出た。安倍晋三首相のお膝元で保守分裂選挙の様相を呈している。
首相の元秘書の前田氏は、首相に近い県議や市議らの強い支援を受けているが、自民党下関市議団(18人)は現職の中尾氏を支持する一部市議の反発もあり、自主投票を決めている。5日の出陣式でも、前田、中尾両陣営に、それぞれを支援する自民党県議、市議らが分かれて出席した。
松村氏は市議時代に中尾氏を支援してきたが、今回は「考え方が違ってきた」として自ら出馬した。【上村里花】
【下関市長選挙】自民党も分裂? 松村正剛氏 VS 前田晋太郎氏 VS 中尾友昭氏
選挙ドットコム編集部
任期満了に伴う山口県下関市長選は3月5日に告示され、いずれも無所属で新人の松村正剛氏(63)、自民党が推薦する新人の前田晋太郎氏(40)、現職の中尾友昭氏(67)が立候補しました。投開票は3月12日です。
現職の中尾氏は、これまで山口県を選挙区とする自民党の参議院議員、林芳正氏から応援を受けていました。今回も当初は自民党に「推薦願」を出していました。しかし、自民党との折り合いが付かず、自ら推薦願を取り下げる事態となりました。
最終的には自民党は、元市議で安倍晋三首相の秘書だった前田氏に推薦を出しており、自民党支持者の中でも前田氏と推す声と中尾氏を推す声とが分裂する状況になっています。
子育て世代にも高齢者にも住み良い下関市を。新人 松村正剛氏
元市議の松村氏は、「子育てがしやすく、高齢者にとっても住みやすい下関市を目指しています。具体的には小中学校の給食の無料化、高齢者の100円バス事業の通年化を公約に掲げました。また、安岡沖の風力発電計画は中止する方針を打ち出しました。「下関は政治や人間関係のしがらみによって発展を阻害されている」と主張する松村氏。政党の支持を受けず、「バックのない市民派」として選挙戦を展開します。
松村氏は県立下関高校、関西学院大学出身。2008年から下関市議を4期務めました。
強力なリーダーシップで下関に新しい風を吹き込みたい。新人 前田晋太郎氏
元市議の前田氏は、安倍晋三首相の秘書を7年半務めた経験を持ちます。
下関には強力なリーダーシップが必要、と主張し、「リーダーが変われば街は変わる」と自らが先頭に立ち、閉塞感に満ちた過去8年の下関市政に新たな息吹を吹き込みたい、と意欲を燃やしています。また財政のゼロベースでの見直し、国や県と連携した地方創生、関門海峡を利用した民間企業誘致などを公約に掲げました。
前田氏は長崎大学出身。2003年から安倍晋三氏の秘書を務め、2011年に下関市議に初当選を果たしました。今回は任期途中での立候補となります。今選挙では自民党の推薦を受け、さらに年少で当選した三重県の鈴木英敬知事や、福岡市の高島宗一郎市長からも応援を得るなど、強力なバックアップを受けて勝利を狙います。
50年、100年先の下関市民のために働きたい。現職 中尾友昭氏
現職の中尾氏は今回3期目への挑戦となります。3期目を「過去2期8年に市民から受けた投資をお返しする期間」と位置づけ、「これからの50年、100年の市民のために尽くしたい。責任と覚悟を持って必ず下関市を元気にする」と訴えました。政党の推薦は受けていませんが、事務所には林芳正・自民党 参議院議員の後援会の「ため書き」もあり、林氏に近い県議や市議から応援を受けています。
中尾氏は下関商業高等学校卒業後、下関唐戸魚市場に勤務しながら中央大学法学部通信教育課程で学業を修めました。後に東亜大学大学院を修了し、2002年には25年がかりで税理士試験に合格しました。2009年に下関市長に初当選しました。
前回の投票率は42.04%。保守派分裂となった今選挙は?
下関市は安倍晋三首相と林芳正元農林水産相のおひざ元で、過去に首相の父・晋太郎元外相と林氏の父・義郎元蔵相が激しく争った選挙区です。そのため、自民党支持者は今も「安倍派」と「林派」に分裂し、遺恨が残っているとも言われています。安部派と林派の争いとも見られる下関市長選。あるいはバックアップを受けない松村氏が抜け出すか、票の行方に注目が集まります。
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下関市長選:3氏が届け出 首相お膝元で保守分裂の様相
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