2015年12月30日 北部や中部で甚大な水害被害の続く英国の気象庁は29日、新たに暴風雨「フランク」による激しい雨や風による被害が北アイルランドやスコットランドで懸念されるとして警報を発令した。 英気象庁は29日夜から30日朝にかけて暴風雨「フランク」による被害が予想されると発表。スコットランド西部やイングランド北西部の複数地域に、大雨被害に備えた「要準備」を意味する「褐色」の気象警報を発令した。また雨に対する「要注意」を意味する「黄色」警報を、スコットランド北部や北アイルランド、ウェールズ、イングランド南西部などに出した。 BBCの気象予報士によると、イングランド北西部、スコットランド南部と中部、ウェールズの各地で最大120ミリの大雨が予想される。また29日夜から30日にかけてスコットランド西岸では、最大風速36メートルが記録されたという。 イングランドとウェールズでは30日朝現在、4カ所で生命に危険を及ぼす恐れのある深刻な洪水被害が予想されると、警報が発令されている。さらに46カ所では速やかな対応を必要とする洪水警報が出ている。またスコットランドでも50カ所以上で同様に速やかな対応を必要とする洪水警報が出された。 生命に危険を及ぼす恐れのある深刻な洪水警報が出されている4カ所のうち、3カ所はイングランド西北部ランカシャーのクロストン。近くを流れるダグラス川の決壊を防ぐため、英空軍ヘリが重さ1トンの土嚢の空輸を続けている。 4カ所目は北ヨークシャー。ワーフ川にかかる18世紀建造の石橋が崩壊し、近くのガスパイプが破裂したため、軍が周辺住宅の住民を避難させた。 北アイルランドでは、暴風雨「フランク」の影響で住宅2000軒が停電。28日までの大雨に続き、30日にかけてさらに20~40ミリの降雨量が予想されている。山間部では70ミリにもなる恐れがあるため、洪水が起きる恐れがある。 ベルファスト国際空港に到着予定の旅客機9便が、強風のため着陸が遅れたほか、2便はアイルランド・ダブリンの空港に到着地変更を余儀なくされた。 26日から27日にかけて川が決壊し、冠水被害にあったイングランド北部の主要都市ヨークでは、複数の被害者宅が空き巣に遭った。地元警察は「ただでさえ厳しい状況にある人たちをさらに苦しめるような真似をなぜするのか、まったく理解しがたい」と非難している。 英政府のコミュニティー・地方政府大臣を務めるグレッグ・クラーク氏は29日、イングランド北部で洪水被害を受けた家庭や企業に対する追加支援5000万ポンド(約90億円)の拠出を発表した。政府によると、すでに今回の洪水対策で1億ポンド(約180億円)の拠出が決まっている。 (英語記事 Storm Frank hits UK causing flooding fears and power cuts)BBC News
洪水被害の英国にさらに暴風雨「フランク」
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