日本で最も自殺率が低い町 そのワケは?
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先進7か国のなかで不動の1位、といっても喜ばしいことではありません。日本の「自殺死亡率」です。最近は減少傾向にありますが、一概に自殺が多いのではなく少ない地域と多い地域で大きな開きがあることがわかってきました。日本で自殺率が最も低い町を取材しました。
徳島市内から2時間、海沿いの小さな町、徳島県・旧海部町です。港のすぐ近くまで小高い山が迫っていて人々は麓の狭い土地に暮らしてきました。家同士は密集しています。
「顔の知らない人が来たら、不審者ということはないけど、どこの人かな?と興味を持つ」(町の人)
ベランダがない家も多く、考案されたのが「共同物干し場」。
「ここに出てきてちょっと暖かかったら日なたぼっこして話したり…」(町の人)
古い家には必ずある「店」と呼ばれる椅子代わりの板。雨戸を利用した、住民たちの情報交換の場です。
「政治のことも言うよ、トランプじゃろカルタじゃろ」
「トランプとカルタと一緒よ」
こうした狭い町ではプライバシーがない、という面が強調されがちですが、この町では悩みや病気のことを周囲にあけすけに話すのが習慣となっています。
「生き心地の良い町」は旧海部町に暮らす人々の生き方や人生観の特徴をまとめた本です。社会学者の岡檀さんは平成の大合併前、3318の市区町村の30年間の自殺者数のデータを解析。独自に自殺率を計算したところ、旧海部町が離島を除いて最も低いことを突き止めました。
「助け合っていて仲が良くて、絆が強くてというイメージ。自殺予防では絆が大事という話がよく出てくる。結果はむしろ逆」(「生き心地の良い町」著者 岡檀さん)
小さな町にありがちな濃密な人間関係はなく、程よい距離感をもって人付き合いを続ける町の人々。
「大勢の人の中にはいろんな人がいる。“いい人”ばかりじゃない“悪い人”もいる」(男性)
本音と気遣いのバランス。人のつながりや人への関心の持ち方がほかの町とは少し違います。
「ひとつの家同士の家族みたいな雰囲気」(男性)
生き心地の良さの秘密が、この町には詰まっていました。
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日本で最も自殺率が低い町 そのワケは?
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