京都新聞
自殺者の「生」の痕跡伝える 京都で写真展
京都市内各地で開催中の国際写真祭「KYOTOGRAPHIE(キョウトグラフィー)」で、京都市北区の若手写真家吉田亮人さん(36)が、23歳で自殺したいとこと、その後亡くなった祖母の生前の暮らしを撮影した写真を展示している。悲しい結末だが、吉田さんは「見た人が自殺について考える契機になれば」と話している。
吉田さんは宮崎県出身。大学卒業後6年間、京都市内の小学校で教壇に立ったが、29歳で写真家に転身した。労働などをテーマに写真を撮り続けている。
宮崎県でともに暮らしていた祖母といとこ(孫)にも2011年からレンズを向けてきた。しかし、14年にいとこが行方不明になり、翌年、山中で遺体で見つかった。16年には後を追うように88歳の祖母が老衰で亡くなった。
写真展のタイトルは「Falling Leaves」。意味は落ち葉で、いとこの遺体を覆っていたことから名付けた。吉田さんは「家族の死を扱うため発表に葛藤もあったが、生きた痕跡を残したい」と決断した。
会場の元新風館(中京区)には白黒の写真約50点が並ぶ。手をつないで買い物する様子や風呂の介助などを温かなまなざしでとらえる。展示の最後にいとこが亡くなった森を小部屋の四方に写真を貼って再現した。写真祭共同代表の仲西祐介さん(48)は「作品を見ていると涙が出てくる。若者の自殺は社会の責任でもある。大勢の人に見てもらいたい」と話す。
14日まで。無休。午前10時~午後8時。入場無料。
来場者に作品を説明する吉田さん(右から2人目)=京都市中京区姉小路通烏丸東入ル・元新風館
参考
●祖母を支え、死を選んだ孫。二人を撮り続けた写真家の思い
https://www.buzzfeed.com/ryoyamaguchi/falling-leaves