ハワイで小頭症の新生児、ジカ熱の感染を確認 米国で初

(CNN) 米ハワイで生まれた小頭症の新生児が、蚊が媒介する感染症のジカ熱に感染していたことが18日までに分かった。南米ブラジルではジカ熱が流行し、小頭症の乳児が激増しているが、米国で症例が確認されたのは初めて。小頭症とジカ熱との因果関係が確認されたわけではないが、当局は警戒を呼びかけている。
米疾病対策センター(CDC)によると、小頭症の乳児はオアフ島で生まれ、過去にジカ熱に感染していたことが確認された。ハワイの衛生当局は、2015年5月にブラジルに滞在していた母親がジカ熱に感染し、妊娠中に母子感染したとみている。
当局は「乳児からも母親からもウイルスが他人に感染する恐れはない。ハワイで感染するリスクはなかった」と強調している。
ジカ熱と小頭症との関係は最近になって指摘された。ブラジルでは過去4カ月で乳児3500人の小頭症が確認され、46人が死亡している。2014年の症例数はわずか147例だった。
ブラジルでは同じ時期にジカ熱の流行が拡大。衛生当局は妊婦のウイルス感染と小頭症の急増に因果関係がある可能性もあるとみて、調査を進めている。
CDCは15日に勧告を出し、慎重を期すためにジカ熱が流行している南米の国への妊婦の渡航を控えるよう呼びかけた。
米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・フォーシ局長は「パンデミック(大流行)が進展しつつある」との見方を示し、「日が経つにつれ、事態は一層悪化する」と予測する。
小頭症は乳児の頭部や脳の発育が不十分となる疾患で、一般的には妊娠中に発症するが、出生直後に発症することもある。
ジカ熱はネッタイシマカがウイルスを媒介する感染症。ネッタイシマカはデング熱や黄熱病も媒介する。ジカ熱のウイルスに感染しても発症するのは5人に1人程度で、症状も微熱や発疹、関節の痛みなど軽度にとどまる。
まだ小頭症とジカ熱との因果関係が確認されたわけではない。しかし、CDCでは、妊婦がどうしてもジカ熱の感染が起きている地域に渡航しなければならない場合、虫よけを使ったり長そでや長ズボンを着たりするなど蚊を寄せ付けない対策が必要だと呼びかけている。
一方、米国でのジカ熱の流行は予想していないとCDCは指摘する。米国の領土内で感染した症例は自治領プエルトリコで1例が確認されたのみ。海外の渡航先で感染し、米国に帰国後に感染が判明したケースは少なくとも22例が報告されている。2007~14年の報告は14例だった。
CDCによれば、15年から16年にかけては海外での感染者が少なくともあと8例確認された。ほかにもまだ米国に帰国後に発症した患者について検査を行っており、感染者は今後も増える可能性がある。
ハワイは蚊が繁殖しやすい環境にあることから、当局は市民らに対し、蚊がいるような場所を避け、必要に応じて虫よけを使うなどの対策を促している。