「障がい児産んだら人生終わった」またしてもママの悲痛な声
■待機児童だけじゃないママが抱える苦しみ
匿名ブログから始まったこのムーブメントですが、それに応じて新たな匿名ブログが静かに注目を集めてきました。それが、 「障害児産んだら人生終わったから、日本死ねっつーか死にたい」というブログです。著者は数カ月前に子どもを産んだママ。夫婦共働きならどうにかやっていけると思って、子どもを産んだけれど、子どもは口から栄養を取ることができない重い障害を持って生まれてきました。医師や保健師からは「こういう状態の子供を産んで働いている母親はいない」と言われ、途方に暮れています。片働きになれば、今の家には住めなくなるし相当切り詰めた生活をしなければならない。次の子を持つのも難しい。だったら、子どもと一緒に死にたい…と悲痛な叫びをもらしています。このブログが反響を呼び、同じ境遇にいるママやパパからの励ましもあり、追記で「 もうちょっと生きてみようと思います」と書いていました。私もいちワーキングマザーとして、今後いかなる障害が子どもを襲うかもわかりません。なぜこのような叫びとなったのか、簡単ですが調べてみました。
■医療的ケア児は増えているのに…

実は、新生児医療の発達により救える命が増え、このブログに出てくる赤ちゃんのように口から栄養を取れず、点滴などを使う経管栄養や痰の吸引が必要な「医療的ケア児」の数は平成23年と平成25年の比較だけでも約6000名増えています。
おそらく多くのママが妊娠したときや、出産後に「我が子に障害があったら」と思いをめぐらせたことがあるのではないでしょうか。私自身も我が子がNICUに入った経験もあり、「もしかしたら仕事は辞めなければならないかも」と考えたことがあります。もちろん考えることと、それが現実になることは別です。でも、調べてみれば障害は先天的なものや出生時だけでなく、障がい者人口で言えば後天的なものが半数以上を占めます。現時点で当事者でなくとも、いつ自分が当事者になってもおかしくないと感じました。
■障がい児のママはなぜ働けないの?
ブログ著者のママが言うように、経管栄養や痰の吸引などは、原則「医療行為」のため保育士では対応が難しいのが現実のようです。保育園には児童数に応じて看護師も配置されますが、保育士不足の中で看護師が保育現場のサポートをしていたり、保健指導や検診、体調を崩した子どもの対応など、とても医療的ケアが必要な子どもに1日ついて看ることは不可能でしょう。実際に障がい児のいる世帯の母親の常勤雇用率は5%とも言われており、健常児の母親に比べて格段に少なくなっています。さらに、全国医療的ケア児者支援協議会によれば障がい児の母親の 10人に9人が十分な睡眠をとれていないそう。こうした背景を知ると、とても働ける状況ではないことがよく分かり、ブログを書いたママの叫びがより現実的なものに聞こえてきました。もしかしたら、実際にはもっともっと多くのママが同じような気持ちでいるのかもしれません。
■障がい児のママにも仕事を。医療的ケア児にも保育園を。
まったく救いの手がないのかというと、このブログのコメントにも書き込んでいる人がいましたが、NPO法人フローレンスでは医療的ケア児を受け入れる日本初の保育園「障がい児保育園ヘレン」を開園しています。また、全国医療的ケア児者支援協議会という団体が立ち上がり、政策提言などを行った結果、医療的ケア児の支援強化へ向けて法改正が進んでいるようです。でもまだまだ足りていないのは素人の私から見ても歴然です。
私自身はついつい自分の子育てで手一杯になってしまいますが、今回の匿名ブログの発信によって、保育園問題にあまり興味を持っていなかった人が興味を持ったりや障がい児の保育園がないことに気づかされたり、自分が当事者以外の問題にも目を向けていかなくてはと思う出来事でした。
ライター・犬山柴子
(参照)
「障害児産んだら人生終わったから、日本死ねっつーか死にたい」 http://anond.hatelabo.jp/20160229202916
↓これ読んだら居てもたってもいられなかったから、便乗して日記を書いてみる。
■保育園落ちた日本死ね!!!
http://anond.hatelabo.jp/20160215171759
私は数ヵ月前に第一子を産んだ。
私20代、夫30代。
二人とも正社員だけど給料は高くない。
まあごく普通の夫婦。
共働きならなんとか子育てしながらやっていけると思った。
だけど、生まれたのは口からミルクを飲むことも息をすることもままならない重度の障害児だった。
医師や保健師からは、こういう状態の子供を産んで働いている母親はいないと言われた。
人工呼吸器をつけていたり、鼻に入れたチューブから栄養を取っている子はどこの保育園でも預かってもらえない。
みんな子供の介護をしながら、手当てをもらって暮らしている。それが当たり前だって。
手当てといっても給料と比べればわずかな額だ。
片働きになれば、今の家には住めなくなるし相当切り詰めた生活をしなければならない。次の子を持つのも難しい。
だったら、死のうかなって思ったよね。子供と一緒に。
就活をけっこう頑張って入った会社だったんだよ。
妊娠中、子育てに夢を描いて選んだ家だったんだよ。
そういうの全部なくして、残りの人生、親を親と認識できるかも分からない子の介護をするのかと思うと、絶望が凄い。
子供が可愛くないわけじゃない。でも失ったものが大きすぎる。
あとさ、出生前診断ってよく話題になってるけど、分からない障害の方が圧倒的に多いんだよね。
特に呼吸器とかが必要になるような重い障害って、脳の機能の問題だったり、出産時の事故だったりが多いから
産んでみるまで予想もつかない。
母親の年齢もあんまり関係ないし。
子供を持つのって待機児童の心配とかもあるけど、
こういう思わぬリスクもあるんだなって、産んでから初めて知った。
誰だって障害児を産む可能性はあるんだから、
せめて、どんな子が生まれても普通に生活を続けていける社会になって欲しいと切に願う。
…ってなことを吐き出したくなったから書いてみた。
―――3月7日21時追記―――
凄い数のブクマついてて驚いた。
いろんな人が興味を持ってくれているようでありがたく思う。
医療ケアのある重度障害児育てていると、困ったことがあってもデモとかで訴える余裕もないし(そもそも物理的にあんまり外出できないし)、
どうしたって自分たちが少数派だからと、伝えることを諦めがちになっていた。
だからこういう形で吐き出した悩みに、多くの人が意見を寄せたり拡散をしてくれたっていうのは、本当にありがたい。
今、恋をしたり、結婚式をあげたり、妊娠を喜んでいるカップルや夫婦が
いつか重症児の親になってしまった時、もう少し絶望しないですむよう社会が変わっていくといいな。
それと、いくつか寄せられた障害児の延命への批判や疑問について。
私のケースだと、出産後に異変がわかって、あれよあれよという間に呼吸器がついて経管栄養がついて、
延命について考える機会もなかった。
「命は助かりました。医療ケアがあれば生きて行けます。あとは親御さんが頑張って育ててください」っていう感じで怒涛の育児が始まったw
延命はするにしても、しないにしても重い決断だけど、発達が望めないような障害の場合選択の機会はあってもいいんじゃないかと思う。
そして、親が考え抜いて決めた答ならどっちも正解だと思う。
(ただし、どの程度の発達が望めるかの判断が難しいケースも多いけれど)
どんな命でも大切に育てるというのはひとつの理想なのかもしれないけど、
現実を見れば、介護の担い手も福祉のリソースもすべて有限だから。
まあ、子を育てていくうちに考え方は変わるのかもしれないけど。
あと、経験者の声には勇気づけられた。ありがとう。
http://anond.hatelabo.jp/20160229202916
とりあえず、もうちょっと生きてみようと思います。
―――3月8日0時追記―――
takehiko-i-hayashiさんにコメントして頂いたチャリティーのリンク先を貼っておきます。
すでに寄付してくださった方もいるみたいで、感謝の思いで爆発しそうです。
障害児保育問題@フローレンス http://florence.or.jp/solution/#col_3
重病児家族滞在施設@マクドナルドハウス http://www.dmhcj.or.jp/support/index.html