患者ら癒やすアート イメージ一掃 堺の病院 /大阪
小児病棟の壁に掛けられた木琴で遊ぶ子供と看護師=堺市堺区で、山崎一輝撮影 医療や介護の現場を美術作品で彩り、患者や家族の心を癒やして回復を促す「ホスピタルアート」の取り組みが全国で広がっている。堺市堺区の耳原総合病院(奥村伸二院長、386床)もその一つだ。美術館のような病院を訪れ、取り組みについて聞いた。
2013年の建て替えに際し、「子どもが怖がらずに来ることができる病院にしたい」という看護師の一言がきっかけで計画が始まったという。
NPO法人アーツプロジェクト理事で、ホスピタルアートディレクターの室野愛子さん(36)に依頼。造形作家や銅版画家の作品がエントランスホールや待合室などに並び、近隣の人たちの絵画や写真が各病室に飾られている。
病院は1950年、地域医療を担おうとカンパを募って民家の中2階で診療所としてスタートした。取り組みに当たってはそうした歴史を踏まえ、地元の人にも聞き込みをしてコンセプトを練った。病院の外壁には、かつてあったケヤキの絵が描かれている。医療にかける思いがアートとして表現されて、そこで働くスタッフも元気づけているという。
心臓疾患を抱え、リハビリに通う堺市西区の小田和男さん(82)は「明るい雰囲気があって、病院に来るのもリハビリするのも楽しい」と話した。【山崎一輝】
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重厚な機材で患者が不安を感じないように、優しげな絵が描かれたCTスキャン室=堺市堺区で、山崎一輝撮影 小児病棟の壁に掛けられた木琴で遊ぶ子供と看護師=堺市堺区で、山崎一輝撮影 森をイメージしてデザインされたリハビリルーム。病棟から出て、外を散歩する気持ちで患者にリハビリして欲しいという作業療法士らの思いが表れている=堺市堺区で、山崎一輝撮影 森をイメージしてデザインされたリハビリルーム。病棟から出て、外を散歩する気持ちで患者にリハビリして欲しいという作業療法士らの思いが表れている=堺市堺区で、山崎一輝撮影 エントランスでは、プラスチック製のハート約1万9000枚が集まった「希望の芽」が患者を出迎える。希望を持って迎え、希望を持って帰ってもらいたいという職員の思いが込められている=堺市堺区で、山崎一輝撮影 エントランスでは、プラスチック製のハート約1万9000枚が集まった「希望の芽」が患者を出迎える。希望を持って迎え、希望を持って帰ってもらいたいという職員の思いが込められている=堺市堺区で、山崎一輝撮影 エントランスでは、プラスチック製のハート約1万9000枚が集まった「希望の芽」が患者を出迎える。希望を持って迎え、希望を持って帰ってもらいたいという職員の思いが込められている=堺市堺区で、山崎一輝撮影 エレベーターホールには、堺市の鳥モズが留まっている。全階に各部署の思いが反映されたモズが描かれており、リハビリテーション科がある3階のものは「あきらめない 何度でも」をテーマにしている。戦前の堺市にあった水族館を表す魚の絵も職員の手によって描かれている=堺市堺区で、山崎一輝撮影 各病室に飾られている美術作品=堺市堺区で、山崎一輝撮影 エレベーターホールの壁には、堺市の鳥モズが飛んでいる。全階に各部署の思いが反映されたモズが描かれており、小児科のある9階は「また光を浴びて外遊びをしよう」という思いから明るい色合いになっている。約40年前に、病院地域の「ひまわり保育園」へ子供を預けて働いていたという看護師への聞き込みから、職員の手によってヒマワリが付け加えられた。一緒に書かれたタライは、その子供たちが園で水浴びをしていたことを表しているという=堺市堺区で、山崎一輝撮影 地元住民への聞き込みで、昔にこの土地に生えていたケヤキの木が描かれた外壁。地域に根ざした医療を表している=堺市堺区で、山崎一輝撮影