民間コールセンター 電話作戦で特殊詐欺防げ
「あなた、犯人に狙われてますよ」。特殊詐欺の被害を防ぐため、警察から委託された民間のコールセンターが電話で注意を促す取り組みが全国に広がっている。活用しているのは、警察が詐欺グループから押収した延べ約250万人分の名簿情報。被害防止に効果を上げており、大阪府警も今年度、初めて導入することを決めた。
「マイナンバー制度をかたった詐欺被害が出ています。電話があったらすぐ家族に相談を」
3月中旬、岡山市北区のNTT西日本のグループ会社のオフィスで、女性オペレーター9人が次々に電話をかけていた。岡山県警の委託事業で、高齢者らに優しく語りかける。県警担当者は「詐欺の事例をわかりやすく教えれば、危険性を理解してもらえる」と話す。
コールセンター事業は2015年度、18都県に広がった。10年5月に初めて導入したのは埼玉県警だ。同県警によると、15年度は約25人のオペレーターが延べ約101万世帯に電話をかけた。このうち延べ約37万5000世帯とつながり、把握しているだけで172件の被害を食い止めた。
15年9月には、70歳代女性に電話したところ、直前に「息子」を名乗る男から不審な電話を受けていたことが判明。オペレーターが息子本人に確認するよう助言した結果、虚偽と分かった。また、現金の受け渡し場所で捜査員が待ち伏せする「だまされたふり作戦」を実行し、受け取り役を逮捕したケースもあったという。
電話の対象となるのは、警察が詐欺グループの拠点などから押収した名簿に載っている人たちだ。
詐欺グループは、過去に悪質商法などの被害に遭った人の住所や電話番号をまとめた名簿を業者から仕入れ、悪用することが多い。大阪府警が昨年10月に摘発した詐欺グループは、東京都内の業者から40万件の名簿を購入していた。
警察庁は12年度以降、こうした名簿情報をデータ化し、住所別に各警察本部に配布。これまでに蓄積したデータは延べ約250万人分に上り、同庁は「一度だまされたことがある人は『損を取り戻したい』と再び被害に遭いやすい傾向がある。名簿をもとに注意喚起する効果は高い」としている。コールセンターに提供された情報は、契約が終われば破棄されている。
コールセンター事業の実施は各警察の判断に委ねられており、主に関東で活用されてきた。15年度は、関東7都県すべてで実施されたが、近畿はゼロ。大阪府警の場合、名簿掲載者に、注意を呼びかけるはがきを送っていた程度だった。
一方、特殊詐欺の被害傾向には、変化が見え始めている。昨年1年間の全国の被害額は476億8000万円で6年ぶりに減少。特に首都圏が大きく減らしているのに、西日本では都市部を中心に、逆に増加傾向にあるという。
大阪府内の被害額も全国2番目の約41億4000万円(前年比約5億8400万円増)で過去最悪となった。このため府警は今年度、国の交付金約3000万円でコールセンター事業を導入。今後、委託先を選定し、夏頃にも始める予定だ。府警幹部は「対策が遅れている地域が狙われ、ターゲットが西日本に広がっている可能性がある。様々な対策を急がなければならない」と焦りも見せている。
以上引用
積極的は、とりくみ・・・さらに関東じゃ成果を挙げている???
なかなか面白い取り組み・・