【衝撃事件の核心】アダルトサイトを職場で閲覧→パソコン外部操作され内部情報流出 町議会事務局長のあきれた危機管理能力
今どき、こんな古典的な手に引っかかるとは…情報に対する危機管理のお粗末さを露呈した
福井県池田町で6月、議会事務局の業務用パソコンが何者かに遠隔操作され、内部情報が流出するという“事件”が起きた。50代の男性議会事務局長がパソコン画面の「ウイルス感染」の表示を見て、そこに記された番号に電話し、電話相手の指示に従って遠隔操作ソフトをダウンロードしたのが原因だった。事務局長は日常的に職場でアダルトサイトを閲覧していたという。企業や自治体でネットセキュリティーの強化が叫ばれる中で起きた、あまりにもお粗末な出来事に町民はあきれている。
職場でアダルトサイト
町によると、経緯はこうだ。6月3日午後3時ごろ、事務局長の業務用パソコンに、「あなたのパソコンはウイルスに感染しています」とのポップアップが音とともに表示された。事務局長は自分で処理しようと、画面に表示された番号に電話。電話口の男の指示に従ってパソコンを操作し、遠隔操作ソフトをダウンロードさせられた。電話口の男は片言の日本語を話していたといい、外国人の可能性がある。
ソフトにより、パソコンが遠隔操作され、不審に思った事務局長がネットセキュリティーの担当者を呼び、事態が発覚した。
事務局長のパソコンにはアダルトサイトにアクセスした記録があり、局長も同日昼休みに閲覧したことを認めたという。パソコンの閲覧記録から、事務局長は日常的にこのパソコンでアダルトサイトを閲覧していたとみられる。
公私混同が招いたトラブル
同町では庁内のパソコンのウイルス対策は行っていたが、有害サイトの閲覧を制限するフィルタリングなどは設けていなかった。
町が問題発覚後に委託した業者の調査によると、パソコンが外部から遠隔操作されたのは、3日午後4時3分から同41分の38分間で、内部の情報が閲覧、コピーされていた。
パソコンには議員名簿や議会の資料など開示されているもののほか、事務局長が私的に作成した地元集落の緊急連絡先名簿もあり、名簿には117世帯分の住所、世帯員氏名、生年月日などが記載されていた。
ただ、どの文書が持ち出されたかなどは分からず、これまでのところ情報流出による被害もないという。
被害届提出も行き詰まり
業務中に町のパソコンでアダルトサイトを常習的に見ていただけでも厳罰ものだが、その上、やすやすとネット犯罪に利用され、内部情報を流出させたことは、町の幹部として危機管理への意識があまりにもお粗末だったと言わざるを得ない。
町は6月22日付で、事務局長を停職2カ月の懲戒処分とし、事務局長は同日、依願退職した。このほか監督責任を問い、総括監理官と総務政策課長を減給10分の1(1カ月)、杉本博文町長と町議会の佐野和彦議長も責任を取り、自主的に報酬を10%減額(1カ月)するとした。
一方、情報流出による具体的な被害が確認されておらず、電子記録の損壊や不正な指令などで業務を妨害する「電子計算機損壊等業務妨害罪」に該当する要素も見当たらないとして、被害届の提出は見送った。
関係者によると、乗っ取りは事務局長がパソコンを操作して招き入れた形になっており、外部から強制的にパソコンを乗っ取られるハッキングとは異なるため、不正アクセス禁止法の適用も難しいという。
杉本町長は「役場のセキュリティー意識や適切な仕組みの不備という問題があった」と述べ、「大変深くおわび申し上げます」と謝罪。町はセキュリティー強化など再発防止に努めるとするが、危機管理能力の欠如をさらけ出した今回の出来事に、住民は開いた口がふさがらない思いだろう。
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アダルトサイトを職場で閲覧→パソコン外部操作され内部情報流出 町議会事務局長
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