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性暴力@性暴力の実相02

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性暴力の実相・第2部(1) 「自分を抑えられない」 勤務先は、だれもが知るような大手。周囲から“お堅い”と思われていた男には、裏の顔があった。 西日本に住んでいた40代のタグチ=仮名=は数年前、アパートの一室に無施錠の玄関から忍び込み、寝ていた若い女性に馬乗りになった。「騒いだら殺す」。女性が抵抗するそぶりを見せると顔面を殴りつけた。凶器を近づけると、女性の体から力が抜けるのが分かった。「これで、この女は思いのまま」。女性のTシャツを顔にかぶせ、自分の顔を見られないようにした。写真も撮った。 「耐え難い苦痛を与えているときこそが、私にとって至福のときだった」 タグチには結婚歴があり、子どももいる。堅実な仕事ぶりは、地元の新聞にも取り上げられた。その一方で、同様の卑劣な事件を何件も起こしていた。乱暴し、「記念品」として下着や同窓会名簿などを奪って帰ったこともある。複数の女性への事件でタグチは逮捕され、強盗強姦罪などで懲役20年以上の刑を受けた。今も服役している。   ■    ■ タグチは、「ムラムラして」突発的に犯行に走ったわけではなかった。 仕事を終えると、バス停やコンビニで「おとなしそうな女性」を探し、尾行した。自宅を突き止めると、洗濯物や郵便受けを確認し、家族の存在を見極めた。勤務先や帰宅時間、就寝時間なども把握。少しずつ女性に近づいていくスリルがたまらなかったという。 そうして完成させた「リスト」には、常に10人以上の女性の名前があった。証拠が残らないよう軍手や目出し帽を準備し、夜が明けるまで、リストにある複数の女性宅を見て回ったこともある。隣人が留守など「絶対に捕まらない」と確信すれば部屋に押し入った。 「女性を蹂躙(じゅうりん)し、支配することで自分の心が満たされていくのを感じた」。服役中のタグチから記者に届いた手紙には、きちょうめんな字が並ぶ。妻は大事な人で、暴力的な行為はできなかったという。   ■    ■ 「性暴力が性欲のみで行われるという考えは間違い。女性を『支配したい』『優越感を得たい』などの欲求が背景にあり、犯行のほとんどは計画的に行われる」。こう話すのは、30年以上、性犯罪者と向き合ってきた藤岡淳子大阪大大学院教授(非行臨床心理学)。「快感が伴うため他の犯罪より習慣化しやすく、思春期前から問題行動を重ねている例が多い」とも言う。 タグチも中学に入ったころから、のぞきを繰り返すようになった。初めて女性宅に侵入したのは就職し、結婚して子どもを授かったころ。「いつか身の破滅につながる」と不安を抱きながら、自分を抑えられなくなっていったという。 タグチ自らの説明では、両親に大切に育てられ、成人しても仕事や家庭に不満や強いストレスがあったわけではない。女性に対する強烈な支配欲はどこからきたのか、「何度考えても分からない」という。 「過去のトラウマや衝撃的な体験が原因ではなく個人の意思ではコントロールできないものだと思います」。手紙には女性を思うままにしたい気持ちが今も消えないとあった。   *    * 性犯罪を防ぐには、どうすればいいのか。連載「性暴力の実相」第2部では、加害者の行動などから、対策などを考えたい。 ◆性犯罪者が被害者を狙った理由 警察庁科学警察研究所が1997~98年に性犯罪事件の容疑者553人を対象にした調査(複数回答)では、容疑者が被害者を狙った理由は(1)「おとなしそうに見えた(抵抗されないと思った)」37.4%(2)「警察に届け出ないと思った」37.2%(3)「1人で歩いていた」26.5%-の順。「好みのタイプだった」は11.9%、「挑発的な服装をしていた」は5.2%にとどまった。=2015/11/10付 西日本新聞朝刊=




性暴力の実相・第2部(2) 認知のゆがみが助長 九州の地方都市に住んでいた40代のヤマグチ=仮名=は数年前、通り魔的に強制わいせつ事件を繰り返し、懲役10年以上の判決を受けた。 通りすがりの少女を脇道や田んぼに引きずり込んで、体を触る。女子高生の後をつけ、帰宅した自宅に忍び込んで、わいせつ行為をする。カッターナイフを突き付け、脅す手口だった。  これほどの犯罪にもかかわらず、当初は罪の意識がそれほどなかったという。 頭の中では、「脅迫」は女性に近づくための入り口で、その後、話して和ませ、口説いたことになっていた。「女性が涙を流して嫌がれば、犯行を思いとどまった」というヤマグチは「(被害者の中には)携帯電話に保存している写真を交換したり、雑談したりして、楽しい時間を過ごせた人もいた」と思っていた。   ■    ■ 性犯罪者の多くは、女性に対し「認知のゆがみ」と呼ばれる誤った思考を持っているとされる。 警察庁科学警察研究所で主任研究官を務めた内山絢子目白大非常勤講師(犯罪心理学)の調査では「女性は『嫌だ』と言っても本当はそんなに嫌がっていない」と答えたのは一般男性(対象688人)の2・5%に対し、性犯罪の容疑者(対象553人)は21・1%。10倍近い開きがあった。 ヤマグチは、若いころにやっていたナンパの延長線上で事件を考えており、震え上がって抵抗できない少女を「自分を受け入れてくれた」と都合良く解釈していた。 性犯罪で有罪となったのは、今回で3度目。犯罪を繰り返した理由もまた、自分勝手なものだった。「派遣社員として必死に働いていた会社の正社員になれそうになかった」ことを理由に挙げ「社会のやつらは相手をしてくれん。全てが嫌になった」。脅してでも、女性に近づきたいと思い立ったという。   ■    ■ 「一生刑務所に入れ、私の生活する世界に戻さないでください」-。被害少女やその保護者のヤマグチに対する憤りは激しかった。 その被害者全員にヤマグチは逮捕後、謝罪の手紙を書いた。裁判を通して、被害者の受けた苦痛を「完全ではないが、理解できたから」という。 今春、勾留中に1人の女性から返信が届いた。楽しい時間を共有できたと思い込んでいた相手だった。「怖くてたまらなかった。いかに刺激しないで帰ってもらうかだけをずっと考えていた」と記されていた。 「当たり前ですよね…。当時、どれほど怖かったことか…」。ヤマグチは記者への手紙にそう書き、「被害者のためにも、必ず生まれ変わる」と結んだ。 その言葉は本物なのか。 ◆認知のゆがみ 内山絢子目白大非常勤講師の調査では、「女性は襲われたいと思っている」「関係を持てば女性は自分のものになる」「トラブルが生じれば女性は性犯罪と言い立てる」-などの誤った認識を持っている性犯罪の容疑者は多く、一般男性に比べてその割合は7~15倍に上るという。日常生活の中で、自身の行為を正当化する傾向などから生じていると考えられる。=2015/11/11付 西日本新聞朝刊=

性暴力の実相・第2部(3) 過激なAV「お手本」に


 強制わいせつの常習犯だった10代後半のシミズ=仮名=が“お手本”としたのは、アダルトビデオ(AV)だった。

 見始めたのは中学生のころ。女性が男に襲われる過激なビデオに、すぐにのめり込んだ。「暴力的でも女は実は嫌がっていない」「撮影した監督も捕まってないし、同じようなことをやっても大丈夫なはずだ」。現実と仮想の世界の区別がつかなくなっていった。
 
 九州の地方都市に住むシミズは、深夜、親の目を盗んで家を抜けだし、一人歩きの女性を尾行。人けのない場所で、背後から抱きつき、体を触って逃げた。繰り返すうちに逮捕され、少年院へ。今年、仮退院した。動向を見守る保護観察官は言う。

 「AVに触発されたと言うのは彼だけではない」

 作品のまねをして、電車やバスで痴漢をした少年。無職で日がな一日、過激なAVを見て、女性を次々に襲った20代の男。「AVが性犯罪のリスクを高めているように感じる」。観察官は顔をしかめる。

    ■    ■

 福岡市都心部にあるアダルトショップの一角には、女性を力ずくで襲ったり、虐げたりする作品が並ぶ。店によると、毎月の売り上げのうち、約3割をこうした作品が占めるという。

 東京のAVメーカーは、作品に臨場感を出すため、実際の犯罪を参考にしていると打ち明ける。「『女性を襲いたい』という欲求に応えようと“現実”に近づけている」と説明する。

 ただ、これが性犯罪を助長しているとの指摘には「顧客の欲求を発散させている。むしろ犯罪の抑止に役立っている」と反発する。

 福岡市のAV観賞施設から出てきた60代男性も「月に2、3本は暴力的なAVを見るが、フィクションと分かっている。理性があれば大丈夫」。作り手側に問題はないとの立場だ。

    ■    ■

 犯罪とAVの関係性を示す一つのデータがある。

 警察庁科学警察研究所が1997~98年、強姦(ごうかん)や強制わいせつの容疑で逮捕された553人に行った調査では、33・5%が「AVを見て自分も同じことをしてみたかった」と回答した。少年に限れば、その割合は5割近くに跳ね上がる。

 ポルノ問題に詳しい中里見博徳島大准教授(憲法)は「女性や子どもを『モノ扱い』する過激なAVは、性暴力を容認する価値観を、見る者に植え付けかねない」と指摘。それらを簡単に見られるインターネットの普及で、危険性は高まっていると警鐘を鳴らす。

 それを象徴するような発言が今年3月、福岡地裁での公判であった。

 「簡単に見られる環境にも問題がある。自分も被害者だ」。女児にわいせつ行為をした20代のアルバイトの男は、高校時代にネットで児童ポルノを見て小児性愛に目覚めたと主張。「環境」のせいにした。

 倒錯した考え方に、性が氾濫する社会の病巣がのぞく。

 AV業界、暴力的表現を自主審査 違法動画がネット流出も

 アダルトビデオ(AV)は、映像倫理機構(東京)などの自主審査団体が審査し、内容や表現などの適法性をチェックしている。「公権力の介入を防ぐためにも、メーカーに厳格な自主規制を求めている」(審査団体関係者)が、過去には撮影時の暴力的な行為が刑事事件になった作品もある。

 関係者によると、主な自主審査団体は五つ。最大手の映像倫にはメーカー115社が加盟、昨年1年で約1万2千作品を審査した。ほとんどの作品で、映像処理を強めるようメーカー側に要求。暴力的表現の場合「実際に行うと犯罪になります」などの字幕を入れるよう求めている。

 2004年には、女性を暴行する作品が問題化。制作会社の社長らが強姦(ごうかん)致傷罪で有罪判決を受けた。事件を受けて暴力的AVの規制強化を求める声が上がったが、実現しなかった。

 性描写と規制に詳しい山口貴士弁護士(東京)は「表現の自由のためにも法規制には反対。自主規制で対処すべきだ」と指摘。販売差し止めは「民事訴訟での対応が望ましい」という。

 近年は、ネットで違法なわいせつ動画や画像が流通。多くは海外のサーバーを経由しており、国内の刑法では取り締まりが難しいという問題も出てきている。

 一般公開される映画は、任意団体の映画倫理委員会(東京)が内容や描写について脚本の段階から審査。内容によって小学生の視聴に注意を促す「PG12」や年齢制限を示す「R指定」をしている。

 ◆AV撮影での人権侵害 アダルトビデオの出演を断った20代の女性が、所属していたプロダクションから違約金2460万円を請求された訴訟で、東京地裁は9月、「本人の意に反して強要できない性質の仕事」として会社側の請求を棄却した。関係団体にも「自分の意思に反して出演させられた」という相談が寄せられており、女性の代理人弁護士は「重大な人権侵害が横行している」と指摘する。

 =2015/11/12付 西日本新聞朝刊=







性暴力の実相・第2部(4) 「結びつき」が歯止めに


 執行猶予中の30代の男性は、自らが強制わいせつ事件を犯すまでを振り返り、経緯をノートに記した。

 《金欠でストレス》→《我慢》→《夜道をうろつく》→《少女を付け狙う》
 
 引き続き「→」の部分に対処法を書き込んだ。

 《家族に相談》《発散のためスポーツチームに入る》《コンビニに入り店員と会話》

 性犯罪の再犯を防ぐためのプログラムが今夏、九州の保護観察所で行われた。

 心理療法を使って犯行を思いとどまらせるプログラムが保護観察所や一部刑務所に導入されたのは2006年。対人関係や被害者感情などを学ぶ科目もある。

 法務省の12年の発表によると、刑務所での受講者の再犯率は21・9%。非受講者より7・7ポイント低く、一定の効果はあるとされる。

    ■    ■

 制度開始から10年を前に、課題も見えてきた。

 福岡地裁で今春あったわいせつ事件の公判。知的障害のある少女を狙ったとして起訴された福岡市の男(67)は、過去の服役中に再犯防止のプログラムを受けていた。男は、裁判長から受講時のことを問われ、「難しすぎて、よく分かりませんでした」としか答えられなかった。出所から4カ月足らずでの犯行だった。

 「出所した受講者に聞くと『何ですか、それ?』と言われることもある」とある保護観察官。性的欲求が起きにくい刑務所では現実感に乏しく、実社会での歯止めになりにくいとの指摘もある。

 保護観察所でプログラムを受けられるのは、刑期満了前に出所してきた仮出所者と執行猶予中の人。回数は5回に限られる。「『あとは自分で頑張って。さようなら』という制度になっている」(矯正関係者)

    ■    ■

 社会としてどう性犯罪者を受け入れ、見守るのか。試みの一例が大阪にある。

 大阪府では3年前、子どもへの性犯罪歴がある人に住所の届け出を義務付ける全国初の条例を施行した。狙いは監視ではなく支援という。

 これまでに届け出たのは64人。当初は再犯防止のプログラムに取り組んだが、受講者の要望を受け、5年間無料のカウンセリングに切り替えた。1回90分で、月1度の利用が大半。多くが対人関係に悩みを抱えており、担当の臨床心理士は「話しだしたら止まらない。それだけ相談できる場がないんでしょう」。犯歴が漏れないよう就労支援などは基本的には行わない。

 出所者情報は保護観察所などから提供されず、届け出は自己申告。「全体をカバーできておらず、どれほど意味があるのか」と効果を疑問視する声もある。

 だが、利用者は言う。

 「来ることが(再犯の)歯止めになっている」「行けないと(ストレスがたまって)危ない」

 刑務所に勤務経験のある藤岡淳子大阪大大学院教授(非行臨床心理学)は「再犯防止には、人や社会とつながり、『変わりたい』という強い意志を持ち続けることが不可欠」という。根気強い取り組みの向こうに、光が見えてくる。

 過去の性的虐待「加害に影響」

 性暴力加害者の中には、自身が過去に性被害に遭った人もいる。大阪市西成区に住む団体職員の男性(37)もその一人。17歳のころに実父から性的虐待を受け、19歳から痴漢行為を繰り返した。男性は、性暴力の被害者が加害へと向く“負のスパイラル”があるのではという。

 男性は生後間もなく親類に預けられ、その後も里親や養護施設を転々とした。父親と同居を始めたのは17歳のとき。夜になると、父親から性的虐待を受けた。「親の愛情表現の一つだと思っていた」。ショックが強かったためか、その記憶は一時期消えていた。

 1人暮らしを始めた男性は19歳のころから数年間、通勤中の電車やバスで女性に痴漢を繰り返した。「『生きてる』という感じで、自分の存在意義を見いだしていた」。当時、自らの被害の記憶はなく、動機は女性の支配欲だったという。

 痴漢では逮捕されなかったが、その後に加わった振り込め詐欺グループが摘発されて実刑判決を受け、服役。受刑者同士が自らの過去を語り合う講座で、性虐待の記憶が突然よみがえり、皆の前で大泣きした。男性は「無意識のうちに、被害体験が自分の犯罪行動に結びついていたのでは」という。「支配された経験」があるゆえに、支配する側に回ることで興奮していたのかもしれない。

 来春で出所から丸3年。男性は被害者にあらためて謝罪するとともに「私のような存在を知ってもらうことで、次の被害を生まない社会になってほしい」と話した。

 ◆性加害者への民間支援 九州では、さまざまな依存症からの回復を目指すNPO法人「ジャパンマック福岡」や、性問題に悩む人たちによる自助グループ「SCA福岡」などが性加害者を受け入れている。定期的にミーティングを開き、参加者が輪になって人には相談しにくい悩みや考えなどを語り合う。体験を共有することで再犯を防ごうという取り組み。

=2015/11/13付 西日本新聞朝刊=



性暴力の実相・第2部(6) 教育が悲劇防ぐ力に


 「心も体もぼろぼろで、生きている意味が分かりません。何であのとき殺してくれなかったのですか」

 北部九州で起きた集団強姦(ごうかん)事件。10月、法廷で弁護士が被害女性の手紙を読み上げると、被告の母親がすすり泣く声だけが響いた。
 
 22歳の無職の男2人は「きょう、拉致り行こ」を合言葉に町をうろつき、帰宅途中の女性を強引に車に押し込んだ。泣きながら助けを乞う女性を乱暴した。

 「悪いことをしている感覚がなかったから、したんだと思います」

 淡々と弁明する2人に、入院を余儀なくされ病室でリストカットをするほど苦しむ女性の叫びは届いていないのだろう。

 「感情がないよね? 人ごとのようだ」。検察官からは厳しい視線を何度も向けられた。2人には懲役13年と9年が言い渡された。

    ■    ■

 中学高校で性教育の出前授業を行う熊本県合志市の婦人科医池田景子さん(58)には忘れられない少女がいる。歯を食いしばっておえつをかみ殺す表情が、目に焼き付いている。

 十数年前、中学3年の少女が体調不良を訴え医院に来た。妊娠5カ月だった。男に乱暴されたが、誰にも言えなかったという。池田さんにも同い年の娘がいた。つらさが倍増した。

 「この子をめちゃくちゃにした性暴力を絶対に許せない」。この一件以来、年30回程度、中高生に被害の話をし、性暴力の悲惨さを伝えている。

 夫で泌尿器科医の稔さん(58)も中高生に出前授業を行う。性教育の内容は妊娠や出産など女性に偏ることが多いと考え、男性向けの話を意識的に盛り込む。

 10月下旬、熊本県の玉名高で2年生約270人に語り掛けた。「彼女が自ら家に来ても、無理やり性的な接触をすると性暴力になる」。男性の場合、普段から適切に性欲を解消することの大切さを説明する。

 診察の中で、女性をおもちゃ扱いするような男性を見てきた。そんな認識が根付かないよう、少年たちに女性への優しさを持つことの大切さも唱える。

    ■    ■

 子どもに「性」を教えるのは学校だけではない。NPO法人「マドレボニータ福岡」代表の藤見里紗さん(39)は昨秋から親を対象に「子どもへの性の伝え方講座」を開いている。

 性教育の先進校と呼ばれる吉祥女子高(東京)出身。同校の保健体育教諭も務めた。いま、小学校や男女共同参画推進センターで保護者たちに「恥ずかしがらず、子どもたちに性の問題を説明しましょう」と訴える。今年の講演は5回。定員40人の3倍近くの問い合わせがあったこともある。「きちんと性教育を受けていない大人だって不安。しっかり性と向き合う家庭が増えていると思う」と手応えを感じている。

 ネットなどで性があふれる現代。性暴力の病巣は根深い。だが、池田夫妻や藤見さんは口をそろえる。「教育で性暴力は減らせる。そう信じて続けていきたい」

 ◆男子高校生への性犯罪防止教室 愛知県警は2年前から県内の高校1年の男子生徒を対象に、性犯罪防止のための“防犯教室”を行っている。被害者が受ける心の傷の深さやネットなどにあふれる性情報の誤りなどを教え、加害者にならないための対策を生徒に考えさせる。男子高校生をターゲットにした警察の啓発活動は珍しい。10月13日現在で18回実施し、計約2700人が受講している。

 =おわり

=2015/11/16付 西日本新聞朝刊=

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