親しまれる「お師匠番」
舞踊家
花柳 波吟さん
花柳 波吟さん
2015年10月10日
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堺・泉北を拠点に「花柳流波吟の会」を主催し、キャリアを重ねて師籍は60年。同地の花柳流では今や重鎮の一人だ。日本舞踊といえば、何かにつけ敷居が高く、取っ付きにくいお稽古事というイメージがある中で、波吟さんは、入門編的な舞踊教室にも積極的に取り組んでいる。
「教室」というよりも「ワークショップ」というべきか。優しく、分かりやすい指導は子どもから大人まで、誰からも親しまれるお師匠番だ。定期的に開催する「ゆかた会」や子ども向けの舞踊会は、単なる発表会の枠を超え、地元・堺ではすっかりおなじみになっている。
子どもたちを指導する上で気を付けていることは「型にこだわるというより『踊りは面白い、楽しいもの』という気持ちを大切にすること。そこを入り口に、これから日本舞踊を本格的に習おうという子どもが一人でも出てきてくれたら」と思いを込める。
児童教育における伝統芸能は、よく「発想力やコミュニケーション能力の育成を図り、将来の芸術家の育成や国民の芸術鑑賞能力の向上につなげるもの」と定義される。だが、それを具体化している現場というのは意外と少ない。その意味で波吟さんの取り組みは、これからの日本舞踊の広がりのために貴重だ。
今年6月には日本舞踊を通じて堺市の文化の発展に貢献したことが認められ、「花柳流波吟の会」として堺市特別功労者表彰を受けた。「日本舞踊の普及に少しでも役に立てたら、と思って始めたことを、堺市が評価してくださったことは素直にうれしい。これからも何事につけ、前向きに取り組んでいければ」
11月8日にはソフィア堺で恒例の「芸能百華」への出演が決まっている。堺市在住。