経済事情も影響か=政令市、地域差も―学力テスト
8/28(月) 17:07配信時事通信
2017年度の全国学力テストでは、初めて政令市別の結果が公表された。 公立小中学校の平均正答率は、同じ道府県の政令市を除く地域より高めだったが、大阪、広島、北九州は国語、算数・数学のA・B問題とも各府県の他地域以下にとどまるなど、地域差も見られた。
専門家は、経済事情などが影響した可能性もあるとみている。 政令市別の公表は、教職員給与負担が17年度以降、道府県から移り、役割や責任が拡大することなどが理由。 20市の公立小中の国語、算数・数学のA・B問題の合計160のうち、58%は同じ道府県の政令市を除く地域の平均正答率より高かった。特に仙台、さいたま、横浜、川崎の各市は5ポイント以上、上回る教科もあった。 一方、大阪、広島、北九州のほか、中学では京都、堺、岡山の各市も両教科A・B全てで同一府県の他地域以下になった。 嶺井正也・専修大教授(教育政策論)は「東日本は、一部を除き経済や教育条件の面で恵まれた政令市が多い」と指摘。一方、大阪、堺、北九州の各市などは「経済的に厳しく、生活保護を受ける割合が高い傾向があり、学力にも影響しているのではないか」と話す。
◇仙台市は独自テスト 政令市別の順位を見ると、中学では仙台市が国語、数学の各A・B全てで1位になり、同市を除く宮城県の平均正答率を7~9ポイント上回った。市は07年から独自の学力検査を実施。小3~中3を対象に、国語、算数・数学のほか社会、理科、英語(中2~3)の学力も測っている。 同市教育委員会は、結果を基に児童・生徒の弱い分野を把握。地元の大学教授らと連携して指導の改善策を検討し、模範的な教員が公開授業を実施するなどの取り組みをしている。 もっとも、小学校の政令市での順位は5~13位で、平均正答率も全国平均並み。市教委の担当者によると、これまでは基礎的な知識を身に付けることを優先し、出題構成も知識8割、応用力2割だった。担当者は「小学生の応用力強化を検討したい」と意気込む。 宮城県教委は「県内には仙台市の平均正答率を上回る自治体もあり、一律に比較、分析はできないと考えている」としている。 大阪市は、算数Aを除き小中全てで政令市中最下位。同市教委は「非常に厳しい結果。これから詳細に分析し、改善を図る」と話した。